蛇の誓い/吉岡ペペロ
 
るけれど、あいにく工場長がきょうは休みなんだ、それにしてもそんな納期まず無理だよ、ちょっと非常識じゃないか、

ユキオはじぶんの非常識を謝りながら明日工場長が出社するのかを部長に確かめた
明日また来させていただきます、と言ってユキオはとりあえずその場を辞すことにした
今粘ってみたところで部長が営業部長の立場でこの件を跳ねてしまったら、これ以上のお願いが出来なくなってしまう、そう思った

カプセルホテルに泊まることにした
外で食事をすませ浴場で湯につかった
朝起きたとき今夜こうして湯につかっているとは思いもしなかった
どうなるか分からないことに意味がないかも知れないことに自分を嵌め込んでゆくことがとつぜん寒々しくも感じられた
ユキオは顔を湯につけた
そのままカタヤマが言っていた言葉を呪文のように繰り返した

あとは登るだけだ、山頂はあるんだ、あとは登るだけだ、






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