昼間の痣/しべ
重たい色の唇と
言われたらしい
なんだって
導線から外れたら
振り出した足の小指から
じわじわ疎外されてしまう
単なる一歩は丹念に
親指から親指へ
カラーテープをみつめて
重心を移してはよちよち進む
出来るだけ苦しまずに弾くから
賽子が赤い目を出したよ
いい大人が髪の乱れもなく
ひとりペダルを漕ぐ
錆色に広がってしまう波紋の
美しいこと美しいこと
それは泣くだろうよ
だってまるで枯れ枝だもの
スワンボートの背中をつつかれて
苔の積もった池に袖までぬらして
つったってたな
沈めないからめそめそと
涙が輪のように広がる男だよ
そこを無関係な雀が横切ったんだ
あさはかで
あわれな奴
黙っていても主役だったろうに
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