黒い丸/リヅ
 
思えば何時間でもおし黙る
今の兄には見えないものが見えてしまう
聞こえない音が聞こえてしまう
私はそこにどう自分の声を滑り込ませればいいのかわからない
言葉が通じなくなってしまった
相づちの打ち方もわからない
兄は手を叩いて笑って
私の顔色を見て急におし黙り頭を抱えた
その時、真っ黒な体に再び星を見つけた
体を動かすたびに丸と丸の残された小さな隙間からチラチラと光が瞬いていた

光だけが綺麗で
兄の語る言葉に笑顔を返せないまま私は呆然と眺めていた
隙間が徐々に減っていくのを数えていた
そんな私に医者が言う
「あまり眺めない方がいいですよ」
あの黒色は死という病気なの
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