乱視/高梁サトル
 
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眼球の筋肉が弛緩して光を巧く捉えられない
ぼやけた視界を懸命に凝らして
壁つたいに歩いてゆけば出口に辿り着くと呟いてみる
規則性を見出そうとする心には不安があるのかな
皺を寄せた眉間を指先でそっとなだめる

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筋書きや構成なんてどうでもいい真夜中に
脳の中で矛盾や葛藤を清算する
これ以上僕自身にも他人にもなる必要はない
ただ頭を空っぽにして眠ればいいんだ

兎のように小刻みに睡眠をとる
電源は入れたり切ったりするときが一番
電気代がかかるんだって誰かが言ってたよ
人より多い心拍が早く打ち止めになればいいのに
“意識的に陶
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