ヒカリ/湖月
こころは遠くへいってしまったようで
手招きしても死んだように、かさかさと音を立てて
時間とおなじ速さでふるえる
例えば二本の腕に包まれるような
あたたかさを思うこころは
それが全てではないと悟っているし
手のひらから伝わるものを永遠に感じ続けることはできないと
とうの昔に知ってしまった心を
救うことなどできないのだと
それでも求める時に
耳元で鳴り続ける歪んだ音は
そのなかにちいさな光りを揺らす
終わりのない言葉と 痛み
足元の雪に手のひらの雨
冷たさと美しさと悲しさのよろこびを
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