石化/結城 森士
夜になる
部屋の中にカラスがやってきて、出口を求めて飛び回る
壁紙はズタズタに破れ、床には一面黒い羽根が散乱し、白壁には至る所に血痕が見え隠れしている。
壁面の古傷はとうに変色してドス黒い染みをつくったまま、いくら拭っても消えることはなく、どうにも
(いけない。このままでは…。
何度も大声で周囲の人たちに訴えたが、助けを呼んだところで、誰も相手はしてくれないだろう。そこで
ほうきを持ち出して部屋から追いだそうとしたこともあるが、カラスの胴体を捉えたはずの柄は、何の手ごたえもなく空を切り、代わりに窓を突き破った。
砕け散ったガラスの破片が、夜ごと自分の精神を切り刻
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