いちばんはじめの出来事/花形新次
 
、ひしと抱き合いました。
「お前、生きていたのか!」
「はい、博士大佐!しかし、早くしないと、奴らはもうすぐそばまで来ています。」
「そうか…。」
「どうしたんです、博士大佐。まさか、あなた・・。」
「私はこの場所を離れるわけにはいかないのだよ。ここには私を必要とする貧しく病に苦しむ人々がいる。だから最後の一人になるまで私はここに残る。」
「ならば、私も一緒に…。」
「それはならん!」博士大佐は大声を張り上げました。
「おまえには、地球防衛隊の書記および会計という重要な役目がある。それを全うしなければならないのだよ。」
「しかし…。」私が悩んでいると、
「しかしもヘチマもないどすえ〜。ないどすえ〜。」と人を馬鹿にしたような京都弁で締めくくりました。

 私はこれ以上何を言っても無駄と諦め、駅前の新星堂でチェリッシュ・ゴールデンベストとバタフライエフェクトを買って、静かに自宅へと戻りました。


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