#6/山口清徳
かねる重苦の責めに煉獄、懊悩、煩悶の末に芽生えた憐憫
積み重ね踏みしだき放蕩の果て、
朽ちた夢の荒れた虚無に立つひとり芝居
空回り激情の流れ落ちる水の伝う立て板のブリキ
響く打ち鳴らす金と金の火花散る咆哮の如き
衝動満たされし空腹の鼓動、絶句ひた隠す片鱗の青き貪欲
言葉さえない無音真空静寂生まれ来るふしだらな破滅
届かぬ手をひた伸ばし虚構にくぐらせながら
絶望の渦に身を投げるユリディス
死神の顎門、降りかかる溶液めいた回廊の狭き道筋に
灯篭のように浮かぶはただ存在の証拠たる爪跡
冷たい血の流れに沿うように逆らうように
船出さえ待ち焦がれ今もただ揺れている、揺れている
新たな日々の止まり木たる傾向を欠いたデッサンの素描
移ろぐ花弁の転がる葉音のように
気もそぞろながら、贖う狂気を置き捨て去るために
手にしたるは罪のない無垢、ただこの一点。
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