夏のおわり/イシダユーリ
 
に、それに満たされようとしないこと。ただのプールだと思おうとすること。
ちゃんと連なりたい、けれど、逃げ出したい、ずっとこれだ。
それは曖昧な匂いでしみわたるものなのだから、身体は壊れない。
けれど、よくわからないじゃないか、どうして壊れないのか。血で地のはずなのに、どうして裂けないのか。もうはっきりとは形を成していないからいつまでもある。
都市では、振動が宇宙とつながろうとする。
祖先ではないルーツを口に出して、音にして、物語にして、空気をすっとばして、真空を信じて、つながろうとする。
毎夜、毎夜、行われる。試み。
わたしは、ただ運動になりたくて、なんにもないのなら、ほんとうになん
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