夏のおわり/イシダユーリ
なんにもなく、そこにあればいいと、思っていたけれど、そんなのは比喩じゃんか、くだらない、それはもういいじゃんか、十分やってみたじゃないか、試みてみたじゃないか、結局どうにもならなかったじゃないか、と声に出して言ってみたところで、なにも変化がない。あるのは飢えのような空白、飽和した肌色。
結局、わたしはかみなりにうたれない。
いつも、気づいたふり、わかったふり、転換したふり、決意したふり、気がすんだふり、なにもないふり、なにかあるふり、ぜんぶポーズ。
本当はいつもおなかがすいている
足りてない なにもかもが
一番 足りてないのは
打ちのめされることだ
打ちのめされないのは
どうしてだ
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