アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
 
あのど盗人は命の恩人
だよ」

このように無邪気に生きたので、精通を見たのは齢54であった。
と言うのは、ある朝巡業先の町で市場を散策中、乳児を抱いた若い婦人が
通り過ぎしな、ぐずり出した我が子に気を取られて買物籠を傾けた為に、
こぼれた林檎の1個が頭を直撃したのだ。
エコーもCTもなかった時代とて、喉元に陰嚢の付随しない侯爵に睾丸が
あろうとは、診察して来た医師達も自身もその時まで知らなかったのだが
、実は咽頭上部に滞留していたのであって、奇しくも所謂のど×××に重
なるような位置にあった為気づかれなかったのであろう(10代半ば頃か
ら何となく鼻腔の通りが悪くなったので、本
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