夜深し(副題:コメトラ)/やや
りから見るとただの喜劇
けれど、夜に喜劇は存在しないの
夜明けの窓の外
地面から朝が染み出している
鳥が喜劇を呼んでいる
薄暗い、薄明かりの屋上
瓶の蓋を開けようとする女の子
力余って瓶を落として
割れ目から空が零れ出る
撒き散らした絵の具のような重い重い重い重い、青
出来れば空になりたかった
本当は全部混ぜて光になりたかったけど
青だって、赤だって、良かった
美しいと感じるものなら何でも
空色の水溜りが揺れる
毒だ、きっと
女の子が水に触れて、悲鳴をあげる
幼いという事、喜劇
女であるという事、悲劇
生きるという悲劇
生きるという喜劇
少女は日の出より先に空に溶け出す
競走馬も喧騒も怒号も鳥も水溜りも何もかもが還元し
それでも遊びは終わらない
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