大蛇と影を重ねて/ポッポ
 
ながらクカカカカという声が聞こえてきそうな表情をしている。それは間違いなく、悦んでいる様子だった。
 そのあと、大蛇は咳きこむような症状を見せてから、僕を守るようにして巻きついてくる。――僕はそのパートナーに?ヒレンクター?という名を与えた。それは以前に聞いたことのある、どこかの国の神話に登場する大蛇の名だ。
 今の僕は、眼前のうねる川をちっとも恐れてはいない。


     *
 ――ある画家が記憶を語る――
 気が触れたらしい私は、焦げついた墨の色の奥へ進むように両手で床を漁り、?怒りを開放した?と言うほかはない声を出しながら、仰向けになるようにして勢いよく身体を放った。――あの
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