ノンフィクション 『回転すし屋にて。』/くろきた
えー… ちょっと待ってよー…
これはないでしょう。ねぇ。
もっと別の場所はなかったの?
終わったわ。私。
今世紀最悪だよう、神さまのばかー。
こんな、こんな、
回転すし屋で、大好きな彼と会うなんて。
それも、偶然ばったり。
緊張して、箸からすしがボロボロおちる。
ネタがうまく噛み切れない。
シャリが喉を通らない。
こんな時にかぎって、何も知らない母さんは
「ほらほら、どんどん食べんちゃい」
って、食べもしない皿をとっていくし。
気が付いたら卵ばっか食べていた。
あぁ、大好きなあぶりサーモンが行
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