蝶蝶/蒲生万寿
 
上の空で眺めれば

淀む気配の疎ましさ

三日月

むら雲漂ふ辺り

ビルの抜き差しならぬ浮世の乱れ

人と人とを結べるものは

物欲の名刺に紙の束

飛べよ 舞えよ

蝶々 蝶々

話す言の葉 見付からず

夢に見るもの 浅ましき

飛べよ 舞えよ 

蝶々 蝶々

光はすでに光を為さず

闇夜に照らす気力無し

昨日に飛ぶか

明日に舞うか

花咲き木漏れ陽

今日も死す

更なる彼岸に辿り着く

小舟のへさきに止まるは目覚め

サラバ サラバ

蝶々 蝶々

手の鳴る後ろに雨が降る

鏡に映る一片の羽

生まれるのは涙 そして灯

また震える

蝶々 蝶々

菜ノ葉ニ飽イタラ・・・

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