きみのかわりに綴る/高梁サトル
ような朝からずっと
旗に泥を投げられても 武器を持たずに撃ち殺されても
それに不快や 不幸を感じる心は遠い
あの瞳が 何を見詰めていたか知っている
告げたい言葉が今 すべて見つからなくても
持ち合わせた ありふれた何かであってはならないという
自分をなだめながらする呼吸が 胸の内に降り重なって
積雪を喜ぶ晩 明朝輝く銀世界を願いながら
眠りについた 子供の夜を何度も思い出す
顔をあげれば
ゆらめく瞳
静寂湛えた
やさしさ護る
やわらかな
つややかな
風撫でる 睫毛
(絶する想い)
戻る 編 削 Point(9)