きみのかわりに綴る/高梁サトル
木洩れ日おちる
春の小道
端はにゆれる
野の草の
やわらかな
つややかな
風撫でる 葉先
(絡めた小指)
陽射しが 美しい絵画の色彩を奪っていくと言う
きみの眠りに就いたその 安らかな顔
頬に無数の滴を伝わせて 握った手の甲にキスをする
深い井戸から水を汲み上げてこよう 再び開く目蓋の為に
冷たく冴えた潤いで 渇いた喉を充たせるよう
何度愛しさを感じたかなど 数える必要はない
この限られた細胞は そう使われるように用意されている
折られて果つるが身のさだめ そう花が嘆かないのと同じこと
二度誓えぬ誓いを立てた 夜のよう
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