恋の後引き/番田
何もわからない心で歩いていくと本屋に立ち寄った。入ったことのない喫茶店でコーヒーを頼むと高い料金を支払わされて、そこからはい出そうとしていた。受験に失敗した僕は、特に向かおうとする場所もなく歩いていくばかりだった。
朽ち果てたような街路樹が無限に続いている。不況のガソリン高という世相を全く感じさせない二月の風はアレルギーの肌には死にたくなるほどに、僕に冷たく吹きかっている。夕べ開けられたようなビールのケースがいくつも積まれている極彩色のマットの敷かれた通りを抜けると、サラリーマンの行き交う人並みの間を抜けるようにして歩く。もう五浪目なので、仮にどこかの大学に入ったとしても卒業すれば厳しい社会
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