月夜の道 /服部 剛
 
夜道に伸びているのは 
棒っきれの姿で立ち尽くす 
私自身の、影でした。 

深夜の川のせせらぎだけが 
無心のうたを囁きながら 
何処か見知らぬ明日の方へ 
流れてゆくのでした 

(川の水面は心の鏡 
 ましろい月の姿は揺れて・・・)

夜空に高く昇った月は、只煌々(ただこうこう)と 
地面にぺたりと貼りつくように 
潰れちまった空き缶を 
いつまでも、照らしているのでした。 




戻る   Point(6)