クローンは人にあこがれて/窓枠
ひとつだけ言わなくてはいけないこと
わたし
実はクローン人間なのです
誰に造られたのかわかりません
右肩にあったはずの製造番号
体を洗うごとにかすれきって
わたしが偽物か本物なのか
誰にもわからないでしょう
欠陥品なわたしにもわかりません
どこが欠陥してるかと言われれば
なにかにつけて不器用で
みなが毎日してるような
簡単な真似事すらできず
いつかスクラップされることを思うと
路地裏にひそんでしまいます
夜が明けるのはもはや当たり前
目覚めればいつも知らない場所
ほんの一瞬の映像なのですが
そこは真っ白で冷たく
過去も未来もありませ
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