駆け抜ける彼女/within
 
息が凍りつく
順番が回ってくる
もうすぐ
目の前で走る
彼女の姿を見やるが
自分の番がきたら
もう一度
深呼吸をする

私はただ楽しくて
誰よりも速く
過ぎ去っていく光景を
知ることができる
自分の言葉を
伝えたかっただけ

何百
何千と
繰り返したゲームの
失敗と栄光の中から
紡ぎだした儀式を
これが最後になるであろう
今日もまた
同じようになぞっていく

誰だって
自分の閾を持っている
私だって
自分の世界があるけど
そこに
光が射すのは
風が吹くのは
緑が香るのは
いつも誰かが
傍にいてくれたから

始まりのサインが

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