会いたい、ただそれだけで/窓枠
身動きはとれない
わたしの行動範囲は限定されたもので
ふきのとう
の ようにじっと待つ
けなげさを身に施して
春になればと
ながく
浅い眠りについている
また明日も
陽は昇るのでしょう
緑が息を吹き返し
桃色の宴に人々は再会を祝い
あちらこちらで蕾がひらく
待ち焦がれた 笑みに溢れて
あなたはどこにいくのでしょうね
わたしはずっと ここにいますよ
わたしの春どけはまだまだ
先なのかもしれません
この体ではふるえすぎて
声すらも出せません
薄い網膜はとうの昔に氷ついて
涙も流せないでしょう
わたしはただ一点を眺め続ける
健気さが砕かれないよう
あたためてください
とかしてください
極寒の凍土にて
わたしが永久保存されてしまう まえに
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