鋼鉄のカノン/高梁サトル
 
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春を待つ少女の さくら色の唇
それは いとおしく やさしげなもの
懸命ではあるが 滅茶苦茶な その色香を愛しては
氾濫する 崩壊する 享楽の轟きを聞くのは
彼らではない 彼女たち自身の耳

バルコニーによじ登って 愛を謳うロミオを冷笑する
深淵へ向かう 邪な路へ手招きする 想いを振り払って
報われない 救われる 女になるのだ と

(かわいてゆく)
(涙に)
(祝福の)
(くちづけを)



混沌のもたらす創造には 常に甘美な美醜が漂う
不明瞭な世界が内包する 大いなる神秘は
死ぬまで私を 解放することはないだろう
奇跡に対峙した時の あの内
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