大森にて??とある放浪別記??/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
メンナサイ……

 謝らなければならないのはこっちの方だ。
 金を払っているので言いにくかった。
 やっと少しだけ頭を下げた。
 女はひたすらカタコトで、申し訳なさそうに謝った。
 ビルを出たところで、あてはなかった。
 持ち金も残り少なくなった。
 ワンカップでごまかすかどうするか。
 霞がかった夕焼け空が遠かった。

 ――コメンナサイ、コメンナサイ。ホントニコメンナサイ……

 一時間ほど含んでいた女の口から出る言葉と画が、しばらく空中に波を打った。

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