ジャズ入門 2日目/A-29
 
分けもわからず四音を重ね、しじゅう音を外しているクセに、そうとは認めない。ヤツはオレにタバコをくれるとか、妹を世話してくれるとか、そんな理由でつるんでいるだけのクズ同然のクロンボちんどん屋らと、そのろくでもない仲間、親類縁者。そんな連中のもとへ白人の音楽屋が歩み寄って行く。

白人が使う音楽理論の初歩を理解でき、仲間をあっさり裏切ることのできる男がひとり見つかると、黒人音楽奴隷集団のいっちょあがり。

ヤク漬けにされ、ケツの毛まで毟り取られたちんどん屋の、ザ・ナンチャッテ・ミュ〜ザックはさらに磨きが掛かる。白人のダンナはそこにあばずれ歌好きクロンボネーチャンをひとりあてがってレコードを作らせ、字の読めないリーダーに「サインの練習だ。ここにお前の名前を書きな、クロンボ」と命じる。するとダンナの懐には大枚が舞い込み、ジャズのあだ花が咲き乱れる。

ビリー・ホリデイのボーカルがジャズ風ボーカルなのか、ボーカル・ジャズなのかといった設問が無意味なのは明白だろう。

クロンボネーチャンに『奇妙な果実』を歌わせ、ごっそり儲けた白いおっさん。ジャジィーだねぇ〜。
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