夢の競馬場2/花形新次
。僕はそれをコートの左ポケットに押し込み、売店で買った缶入りトマトジュースを飲みながら、競馬場へと歩く。駅前ロータリーから北側へ真っ直ぐ伸びる道を500mほど行くと、木々に囲まれた公園のような場所がみえてくる。それが虹色の絵具競馬場だ。もう一月もすれば、競馬場へのこの道は桜が満開だ。桜吹雪の中を競馬場へと向かう時ほど幸せを感じる時はないんだぜ。この競馬場に入場料はいらない。入場ゲートで『湘南ホースニュース』をポケットから出し、係員(人件費削減のためか、東南アジアからの出稼ぎの人が多い。名札にはチャチャイとかウィラポンとか書いてある。)に見せるだけでいい。もちろん見せなくてもいい。要は挨拶代わりだ。
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