幸福論/山中 烏流
 





古い学童保育の前で
私が気付いた影は
小さな二つだった

ちょっと気の強そうな背の高い子と
その影を踏んで歩く、少し小さめの子
見覚えのある景色に微笑みながら
私は、その後ろを通り過ぎる

二人は
まだ雪の残るキャベツ畑から
雪球を作っては、投げ
目を合わせて笑い合っては
楽しそうに
どこかへと、駆けて行ってしまった



道で溶け始めた雪が
近頃は
凍ることも無くなって

確か、いつか見た景色の中には
かまくらや雪だるまが
小さいながらも
そこかしこにあった気がした


あんなにも大きかった空き地は
数年見ない間に

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