穴の空いた靴 /
服部 剛
僕の履いてる靴の踵は
ぽっかり穴が、空いており
電車待ちのベンチや
仕事帰りのファミレスで
片足脱いでは
いつも小石を、地に落とす。
給料日が来るたびに
「今月こそは買おう」と思いつつ
はや半年の、月日は流れ
日々の仕事を共にする
もの静かな相棒みたいな
ぽっかり踵に穴の空いた、この靴は
ぽっかり胸に穴の空いた、この僕の姿に似て
今や、世界中のどんなに高い靴よりも
ぴったり僕の素足に、馴染んでいます。
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