歯磨きの詩 /服部 剛
くたびれた足を引きずって
辿り着いた我家で
晩飯を食べたら
洗面台の前に凛と立ち
ごしごしと、一心不乱に歯を磨こう。
今日という日の食べかすが
きれいさっぱり消え失せて
にっと笑った歯並びが
きらりと光るまで
今夜もごしごし、歯を磨こう。
「白い歯っていいなぁ〜ホワイト&ホワイト」
ってわけにはいかない、愛も仕事も
虫歯だらけの、僕の日常を
自ら治療する為に
これでもかって、歯を磨こう。
歯茎から、血の滲む程・・・
っていうのは嘘である
イタイのはちょっぴり恐い
臆病者の、僕である・・・が、
鏡に映る
間の抜けた面を、睨みつけ
瞳に炎を点火して
めらめらと
無心のままに、歯を磨こう。
生易しくない
明日という日を
噛み砕き
美味しい時間を、あじわうように
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