独りじめ/高梁サトル
 

蓮華草が
一面に咲いていて
夢中で
蜜蜂を追いかけた
時々
朝露が膝に跳ねて
はやる気持ちに
追い付かない足が
まるで
恋のようだと
あがる息に
喉が鳴った

振り向いたら
独りで
小さな声で
名前を呼んでも
届くはずもなく
遠くまで来すぎたと
その場に
しゃがみこんで
誰も来ないなら
いっそ
これは全部僕のだと
空を見上げて
大声で泣いた


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