オートマティスム/しめじ
氷が踏み破られる
次々に踏み破られる
口からこぼれた言葉を押さえきれずに
氷を踏み破る
夜、街灯の光に雪が散り散りに舞っている
彼女は捕虫網を片手に地平を眺めている
音もなく降る雪の中で
捕虫網を片手に弟を待ち続けている
刃こぼれした包丁が落ちている道すがら
横断歩道に濡れた赤い靴が落ちている
人々は打楽器に夢中で
ホームに入ってきた中央線をバチでたたきまくっている
BPMが上がりきって腕がもげた埴輪をもって
僕は不在の彼女に挨拶をする
片眼だけ睫が長い目茶々の彼女
その手を取ることは誰も出来ない
紙垂を巻いた手首
黒
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