上澄み/山中 烏流
 



浴槽に声を浮かべて
その上澄みから
綺麗なものだけを選んで
束ねたあと

それを
誰かの届く距離より
少しだけ、遠いところに放る


そして、わたしは
誰かがそれを追いかける間に
何にも
気付かないふりをして

深く
沈もうとする



***



言い忘れた言葉は
その定義に、当てはめられたように
排水溝に向かって
ゆっくりと
水中を下っていく


太りすぎて
入り口を潜れないわたしに
それらは
口を開かずに
ただ、下っていく



***



そのひとが気付いたとき
わたしは
どこまでも平
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