鳥獣戯画/楽恵
明け方に、右の乳房に奥深く
喰いこみし百獣らのざわめき、
さわさわと
君が心、ここにあらず。
おごれる春はさみしく単騎、千里を走り
凍れる冬の黄河もろとも 旗ともに渡れば風、万民を屠る。
「あらがう斜陽、地平に吼えよ。」
神の子、猿どもは百花繚乱 今まさに王后の戴冠。
暮れて嘆く、ついに玉の緒をちぎる。
夜宴まで浅き仮睡を嫁ぐ
楚々として手折り 蓮をいける。
黒髪ふり乱し妓女の熱き琴線
老いぼれ猿は嬉々として 涙をながす
「若かかりし兎の炎上。」
仏の説話に百舌鳥の身ぶるい。
ぬえ鳴けど、いまだ魚群も黙らず。
水墨に塗りつぶされるべく天の川
恋愛の縁起 暁を待たず。
戻る 編 削 Point(7)