四人の詩人/……とある蛙
の頭蓋骨を乗せ、さらに蓄財とその成果を騙り
赤い顔をした詩人は その背にでっぷりと肥満した蝦蟇を乗せ、さらに愛と自由を興奮した面持ちで喚き散らし
黒い顔をした詩人は その背にすすわたりの群れを乗せ、ぶつぶつと死の恐怖を囁く。
四人は口々に自分の教養と感性を自慢し、
異口同音に
歩道上を歩く顔の無い人々を辟易させている。
ーつまり俺たちだー
そのまま歩いて行くうちに四人は帰る家を失い
もともと帰る家はないが忘れたのだ。
背負ったものの重みに押し潰されそのまま息絶えた。
彼らの歩いた後
靖国通りの歩道には
雪だるまが等間隔に出現し
雪だるまの並木道
日差しが戻った頃には雪だるまは溶け、
何も痕跡を残さず四人の詩人は亡霊になった
駿河台下交差点に巣くう亡霊は
何十万冊にも上る読まれない知識の残滓を喰らい
溶けかかった砂糖菓子の糖分に
追い立てられて溶かされ、わずかに残った亡霊のカス
四人の詩人のなりの果て
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