きりんの首の骨/あ。
 
熱帯夜みたいなきみの瞳はもの悲しくて
ひとつぶの砂も巻き上げることはなかった
湿らせたのはほんのわずかな空間だけで
振り返った背中の先には象のおりと高らかな歓声


きみのその長い首を支えている骨を
ひとつずつ外していったらいつかは
同じ目の高さで見ることが出来るのだろうか
外した骨を注意深く積み上げてその上にのぼれば
きみが写すものを知ることが出来るのだろうか


きりん、ねぇきりん
きみが住む箱庭の向こうはガラクタだ
感情が幾重にも積み重なった美しいガラクタだ


マッチ箱にも似た家がかたかたと列をなす
舗装された道路がすき間をぬい
歩き始めた子どもは空
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