盗めない宝石/こめ
 
鳴らないチャイムを待ち続け

今日も1日が過ぎて行った

明日の僕に手渡す物は

多すぎて目眩がした

足も耳も目も鼻も手も全てのパーツは

一つも合うものがなかった

中古と嘆く僕の体の回りで

弾けるのはエンジェル達の拍手

盗むことは出来ないのは沢山あった

なんでこうも欲しい物に限って

手に届かない位置にあるのだろう

簡単に盗める物には価値はなく

あるのはスリルと恐怖

テトラポットの上で

海の水平線を見つめて

何かが現れるのをずっと待っていた

僕だけ灰色そして残りの世界は

全部鮮やかに見えた

あの時の僕は笑っていた

またあんな風に笑うことができるだろうか?

そんなの分かってしまったら

何もかもが見えるから

やっぱり辞めて置こう

盗めない宝石は盗めないからこそ輝いていた
戻る   Point(13)