盗めない宝石/こめ
鳴らないチャイムを待ち続け
今日も1日が過ぎて行った
明日の僕に手渡す物は
多すぎて目眩がした
足も耳も目も鼻も手も全てのパーツは
一つも合うものがなかった
中古と嘆く僕の体の回りで
弾けるのはエンジェル達の拍手
盗むことは出来ないのは沢山あった
なんでこうも欲しい物に限って
手に届かない位置にあるのだろう
簡単に盗める物には価値はなく
あるのはスリルと恐怖
テトラポットの上で
海の水平線を見つめて
何かが現れるのをずっと待っていた
僕だけ灰色そして残りの世界は
全部鮮やかに見えた
あの時の僕は笑っていた
またあんな風に笑うことができるだろうか?
そんなの分かってしまったら
何もかもが見えるから
やっぱり辞めて置こう
盗めない宝石は盗めないからこそ輝いていた
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