春の薫り /服部 剛
世を去った友を追悼して
一昨日(おととい)の夜、朗読会の最後に
友の詩集を開いて読めば
何処からか、今も僕等を励ますようで
詩友達は密かな約束を胸に、家路に着いた
昨日の朝、目を覚ました
パソコン画面の写真には
いちめんの菜の花畑の向こうに
薄っすら富士の姿があり
僕はこころに、呟いた
( 今頃君は、桃源郷に・・・ )
今夜、「草地の時間」という本を
ランプの灯る
机の上に開いたら
いちめんの菜の花畑の挿絵があり
僕は余白に、言葉を添えた
菜の花は、冥土の人の化身かな
春風に舞う、この世への声援(エール)
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