戦場カメラマン/窓枠
瞼をおろす瞬間を、捉え
コンマの世界は動き出す
1から10までの呼吸で
張り付いたのぞき窓
乾いた風と枯れた土
ささやかな幸せとやらは
この集落ではまだ 咲いては、いない
眼球をしめつける
やがて網膜を突き破って
か細い声帯をふるわす
音 ってものは
どこもかしこも
瞼をあげれば
ぱっ、と
見失う
先は
空
涙
流す
間なく
はっ、と
ライカを構え
そこやあそこも
人 ってものは
何かを訴えたがる
私達は何も記憶しないけれど
記録を 写し、つづいてく
か弱い生き物なのかもしれない
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