冬の音楽 /
服部 剛
夕陽の(目)が覗いている
冬の桜の樹の
曲がった枝の、隙間から。
張り巡らされた根の、喰い込んだ
芝生の周囲に
誰が蒔いていったのか
白い御飯粒を啄ばむ
雀等が、音符になって、跳ねている。
(嗚呼、黄昏の音楽が
辺りに染まってゆく・・・)
桜の裸樹は、まことに独りの、指揮者である。
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