「残花」/月乃助
 

レッドウッドの梢のさき
木漏れ日は森閑のゆらめき

  私のなかで…落ちていきました

  小さな音がかえってきては、
  だからか、そこに声を聞いた気がしたのです
  のどの奥でわずかな声を押し殺すような
  どこか 虫の音にさえもにている

常緑の葉を白く染める陽になって
やってくることもあるのかと ほんの少し
踵を上げ 首をのばしてみる
目を凝らしてみれば 妹の姿がそこにあらわれるのかもしれない
そんな想いにでも、ただ、風が
冬の声になって0℃のあざけりの笑いをあげていた

  枝の影に隠れているなら、

  口元のゆるんだ笑顔も、忘れそうなのだから
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