黒頭巾ちゃんと仮面舞踏会/チアーヌ
ロの指揮ではないらしく、黒頭巾ちゃんの耳にはもう魅力的に響いては来ませんでした。
(ダンスは、もう、いいや。疲れちゃったわ)
黒頭巾ちゃんはふらりと、広い廊下へと出て行きました。
すると、どこからか、叩き付けるようににぎやかなピアノの音が聞こえて来ました。
(なによ、これ。まさか)
黒頭巾ちゃんは憤然として、小ホールのドアを開けました。
中では、華やかなドレスを着た牝犬、牝猫、牝うさぎたちに囲まれて、おおかみがピアノに向かい、乱暴な手つきでストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」を弾きまくっていたのでした。ずいぶんと楽しそうです。
「あら、黒頭巾。待ってたのよ。一体どこに行って
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