高麗青磁双耳壷の印象/楽恵
 
彼とは佐賀の九州陶磁文化館の研究会で初めて会った
私が書いた明末清初の華南三彩陶磁の論文を読んだと彼は言った
高名な李朝白磁研究の専門家に自分の論文が読まれたと知って私は高揚した
その頃私は中国古陶磁を研究する院生だった
部屋に入れたのは
古伊万里の染付けと清朝初期の青花陶磁の違いを教えてあげると言われたから
もちろんそんな口実より
中年のインテリ男がどんなセックスをするのかという興味の方が大きかった
処女のふりをして抱かれた
硬質の北宋白磁を鑑定するように彼は少し手荒く私の性感帯を調べた
八百年前の白磁を鑑賞する時と同じ彼の眼つきに私は興奮した
騎上位で跨り
彼の眼の中に
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