宇宙の本 /服部 剛
安易なキボウが、風に消える
この糞ったれな世界にて
ぼくは今迄よりも必死に
「ほんとうの答」を探し始めた
古書を開いて捲るほど
文字の無い空白の頁の
左側には、十字架にかけられ、頭を垂らす人。
右側には、夕闇に灯る星に、瞳の潤んだ詩人。
あぁ世界がもし哀しみに
構成されているならば
それでもこの胸の内に
一つの意志のように
今日もいのちが脈打つのは、何故?
「その時、窓外の夜空は
無数の星を、文字にした
宇宙の本と、なるだろう・・・」
やがてぼくはたった独り
布団を被り、胸に手を当て
宇宙のこころを映す
地上の物語を、夢に視る
戻る 編 削 Point(3)