黒/nick
 
終わった!
僕らの持っていた地球儀が
手放す前に爆発したとき
これからのことは全部 真黒に染まっちまった

まだ何かを追っているのか
家の瓦礫と
溶けた手の皮膚と
焼けた制帽と
そばで泣いているあの男は
どこかへ行けるというのか

世界でいちばん哀れな町
僕らはそこから始まっているのだ

冷たい歴史を抱きしめたまま
僕らの時間は動かない
あいつが焼きつくしたこの地に
黒い雨は止まない

知っているか
非情な手で書きなぐられたこの脚本を!
無感動に終わる芝居が
おまえをその瞬間へ連れていくのだ
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