「えいえん 佳子1997 冬」「鳥の唄 2000 冬」全面改定版/ダーザイン
を終えて部屋に帰ると、佳子の姿は灯油のポリタンクと共に消えていた。けたたましいサイレンの音がドップラー効果を実演しながらアパートの前を通り過ぎていく。救急車のサイレンの音を追って河川敷へ走ると、人垣の向こうの雪野原の中に、人の形をした炎が灯っていた。
その後、僕も何度か神様に電話をかけた。
「神様、神様、これもあなたが望まれたことなのですか?」
神が答えるわけがない。
ただ、どこか遠いところで、鉛色の海がどよめく音が、聞こえていた。
佳子の淋しい白い影が、暗い波打ち際に佇んでいるような気がして、
私は、こらえることが、できなかった。
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