【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
なのではないかという個人の感じだけではマイノリティにはなりえない。その個人の感じを裏書きするように社会の側からの白眼視や差別があって、はじめてマイノリティはつくり出されるのだ。
社会の側がマイノリティをつくり出すということは、それを社会自体が求めているからだ。言わば生贄(スケープゴート)であるが、そのへんの詳細は多くの民俗学関連の書籍で繰り返し語られている。そうして社会から自分たちとは異なる者として扱われ、異なるがゆえにマイノリティとしての社会性を帯びてしまった存在は古今東西途切れることなく生まれてきた。生贄などというと何やらおどろおどろしい未開社会の儀式を想像してしまいそうになるが、明らかな
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