【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
差別されたり冷笑されたりすることで確認する。さらにそうして社会から認識させられたことを自らの中で反芻するうちに、自分でもそれを再確認する。すると再び社会から差別されたりということになって、認識の方向が自分から社会へ、社会から自分へと行ったり来たりしているうちに次第に固められてゆくものだ。ここには人をマイノリティ化させる悪循環のようなシステムが成立していて、この連鎖からはそう簡単に抜け出せないことになっている。
社会の平均値からかけ離れている者は、このようにして社会と相対することで自らが特殊なマイノリティであるという心的実感をつくり出してゆく。自分が社会の平均値から外れた存在であると自覚する「内
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(3)