アスラエル/チアーヌ
だ。
この苦しさは、胸に水が溜まっているせいだと聞いたが、実感としては息の通り道がどんどん塞がっていくような気がする。
そしてそれは緩くなることはない。
おそらく死ぬまで、この苦しさは続いていくのだろう。
入院したのは二ヶ月ほど前だった。
しばらくずっとイヤな咳が続いており、血の混じった痰も出るので、家の近くのクリニックに通っていたのだが、大きな病院での検査をすすめられ、そこで肺がんと診断されたのだった。
俺にとっては寝耳に水で、まさかそんなことだとは全く思っていなかった。
すぐに入院になった。
その後、医者が妻だけを呼び出した。
妻とは結婚したときか
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