正しい森/都志雄
 
までもが見えたのだ。
流しへと捨てられる春秋の写像よ夥しく、
どのチャネルに生を切り結ぶべきかこの有料の鏡の中に漬かる。

「有って有るもの」
 ―やはり沈黙の
寒中の蒼天にまたひとつ出棺の警笛は鳴り響くテニスコートの脇。
それでもみな口々に軽やかに諳んじる自称森の歌。
迫りくるかつての有り難きもの。
いま
めぐり来った不可避の預言の体すらなして、
なぜこうも翼を広げるのだろう、
冬のおそい夜明けにも似た清明さで。




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