ピストー/おっぱでちゅっぱ。
あなたに似た重みが左腕にあります。
抱きしめられないのは身体がないから。
二月の雪を待つベランダから一月の雪に砂糖をふりかける。
スプーンで掬うことに泣いてしまうひとがいるなら、
きっと大切という結晶。
深い温度融解の意味があるのでしょう。
流れ落ちる水滴のひとつひとつの中。
結露に濡れ包まれるあたしがいるのは卵が欲しい硬い寒色。
むき出しの首筋よりも頬をくすぐる前髪が液体をなめらかにして。
抱え込んだ膝小僧は吐息を見慣れぬ他人だと漏らしたのかもしれない。
あなたを想像し、身体のどこかしらを動かす度に、
ぽちゃん。と、音をたてていたいのは体温を湧けてほしい切実。
ぺちゃん。と、音をたててしまったバスルームの蛇口。
意地悪が排水口のゴム栓を抜き、ぐるぐるしているから逆回転させてしまう。
お風呂に、あの雪を詰めてしまう。
往ってしまっては駄目と決め付けてあたしは、ゆたんぽに汲み入れる。
あたためてあげるのはあたためてほしいからだ。
からだからだがからだから。
スプーンであなたの中を掬いだしてみたくなるのです。
戻る 編 削 Point(3)